四国の右下木の会社 里山資源活用の拡大に向け、カシの製炭を開始
PRESS RELEASE 2024.11.20“稼げる里山産業”の広域化を推進
広葉樹を対象とした循環型林業と備長炭の製造を手がける株式会社四国の右下木の会社(本社:徳島県美波町、代表取締役:吉田基晴、以下「四国の右下木の会社」)は、この度、里山資源の活用拡大に向けて、西日本を中心に広く自生するカシを原木とした備長炭の製造を開始しました。IoTとクラウドを活用した製炭システムにより、製炭が難しいとされるカシを安定的に原料として活用することが可能になります。この取り組みは、全国各地で里山資源の持続可能な活用を促進するものであり、地域の資源循環にも貢献すると考えています。さらに、国産備長炭の供給不足の解消にも寄与することが期待されます。
■事業背景と取組概要
日本の森林面積は約2500万haで、国土の約3分の2を森林が占めており、その1/2以上を占める天然林は、広葉樹を中心に構成され、かつては、薪炭や肥料などを得る里山として重宝されていました。しかし、燃料革命による薪炭需要の低下や林業従事者の減少により、森林の放置・過繁茂が進行し、ナラ枯れの拡大や風倒木災害を誘発するなど、森林環境の悪化を引き起こしつつあります。里山資源の未活用による荒廃が深刻化する一方で、その産品の一つである備長炭は慢性的な生産量減少により、供給不足に直面しています。
四国の右下木の会社は、かつて薪炭産業が盛んであった徳島県南部で、広葉樹に特化した循環型林業技法である「樵木林業※1」と備長炭や薪を製造販売する薪炭産業の復興を通じた、森林環境の回復を目指しています。2023年夏には、IoTも活用した「樵木スマート製炭システム※2」を導入した炭窯が完成し、ウバメガシを原木とした「樵木備長炭」の本格的な製造販売を開始しました。この樵木スマート製炭システムにより、製炭技術の可視化・数値化が実現し、新興の生産地ながら高品質なウバメガシの備長炭の製造が可能になりました。
※1)樵木林業:徳島県美波町(旧日和佐町)及び牟岐町を中心に徳島県南部で発達した、ウバメガシやカシなどの常緑広葉樹(照葉樹)を対象とした林業技法。照葉樹の萌芽力を活かした、択伐矮林更新法(たくばつわいりんこうしんほう)や魚骨状の林道によって伐採・搬出が行われ、河川を利用した管流しで搬出されていたのが特徴である。「海部(かいふ)の樵木林業」として、2018年5月29日に一般社団法人日本森林技術学会の林業遺産に登録。
参考資料:ウィキペディア「樵木林業」について
※2)樵木スマート製炭システム:四国の右下木の会社が開発・提供する備長炭製造のソリューションです。規格統一された独自設計の炭窯に、IoTとクラウドを活用した製炭アシスト機能を実装することで製炭ノウハウの共有を可能とし、高品質な備長炭の安定的生産を支援します。
■取り組みの狙い
ウバメガシやカシは、硬く密度の高い特性を持っていることから、備長炭の原料木とされていますが、カシはウバメガシより水分を多く含むことなどから、製炭には高度な技術が必要とされています。四国の右下木の会社が開発した、樵木スマート製炭システムにより、製炭の難易度が高いとされるカシからも高品質な備長炭の製造が可能となりました。ウバメガシは温暖な気候を好むため、生育地は西日本でも臨海部など一部の地域に限られますが、カシは西日本を中心に広く分布しています。カシの資源が安定的に活用できるようになれば、徳島県内だけなく、日本各地で里山資源の活用が期待できます。
四国の右下木の会社は、里山資源の未活用に悩む自治体に対し、これらの資源を有効活用するための支援を行っていく方針です。これまで備長炭産業が発展していなかった地域での産業化を進めることにより、国内備長炭市場の供給不足解消にも貢献できると考えています。
今後も地域自治体や関連組織との連携を強化し、里山資源の利活用や樵木林業、備長炭産業の広域展開を進めることで、全国的な森林課題や地域経済の課題解決に貢献し、持続可能な地域と環境の実現を目指します。
会社概要
商号:株式会社四国の右下木の会社
所在地:徳島県海部郡美波町奥河内字弁才天54-5
代表者:吉田 基晴
設立:2021年4月
事業:樵木林業による天然林を対象とした循環型林業、備長炭などの薪炭エネルギーの製造販売、森林資源活用を核とした地域振興モデルの自治体向けサービスの提供
URL:https://www.treecompany.jp/
Mail:info@treecompany.jp
ECサイト「KORIKI STORE」:https://www.korikistore.com/